加賀乙彦『永遠の都』全7巻

大河小説をよみきった快さを感じる。舞台は、本書の「永遠の都」は東京。昭和11年から昭和23年までの時代を三田に病院を構える時田利平の一族の眼を通じて描く。上昇志向・立志の人利平の一家、アッパーミドルのサラリーマン小暮悠次一家、実業家から政治家へと転身する風間振一郎一家ら、さまざまな眼を通じた戦争が描かれる。しかしながらその「戦争」と「帝国」は人々の一風景に留まるに過ぎない。家族のありかた、人の愛し方……朝鮮人蔑視、軍国になびくカトリック……様々な問題を孕みつつ物語は展開する。

私がふと眼を見開かれる思いだったのは、終戦後新聞に再び天気予報の欄が設けられ、人々が「平和」を実感する、というくだりであった。夢と生き方という主観的問題と、歴史という蓋然的な流れが絡まる。著者は主張せず、歴史を判断しない。それだけに歴史書としての小説といえるかもしれない。







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