高崎真規子『少女たちはなぜHを急ぐのか』

題名にひかれて読んだ.二部にわかれており,前半は15歳くらいから23歳くらいの女性たちへのインタビュー.後半はその周辺にある大人,学校保健医や産婦人科医,占い師,少女向雑誌の編集長などへのインタビューである.なぜHを急ぐのか,という問題に対し,著者はSEXが自由になったから,という安直な見方をとらない.SEXそのものが前代に比べ開放的になったわけではなく,むしろ「若さ」価値が少女たちのなかで重要性を占めるようになったためと考えているようである.たとえば商品としての自らの性を考えるとき17歳の性のほうが25歳の性より,価値が高いと考えているためだという.そこから先がやや説得性に欠けていて,将来の自己実現に希望を持たないので,若いということに価値があるという発想になるのだ,と展開される.分析を真に受けて読む本でもないから,それほど重大な欠点ではない.インタビューはそれなりに面白い.性感染症の広がりについて書いてしまったのは本書の一貫性を失わせておりマイナス.

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