ことばの地域

この前、湯川ゼミの飲み会でしゃべっていたことだが、言葉にも地方地方で特徴がある。そして、日本の場合、それは普通、方言という。一般に東京の人間以外は、東京方言と、出身の地元の方言を操ることが出来る。したがって日本語を語るといっても、方言モードと東京方言モードの二つを使い分けていることになる。

つまり、ある地方の人が、東京の人間にあわせて話すときには東京方言モードに入るということだ。ところが、このモードが相互に影響を受けるであろうことは、疑いに難くない。東京方言モードで話していると思っていても、不思議に方言の言葉遣いが現れてしまうことがあるのだろう。特にイントネーションはすぐに東京方言のイントネーションになるが、語彙や言い回しとなるとそうもいかないらしい。

よく引き合いに出される、というより私が知っている例では、北海道の札幌周辺の言葉である。このあたりの言葉は、北に行けば行くほど口をすぼめるという本州の傾向とは異なり、イントネーションは東京方言とほとんど変わらない。したがって上述したようなことが非常に明白に出てくる。たとえば、「捨てる」のことを「投げる」「放る」という。これはイントネーションは東京とは変わらない。そして、やたらと過去の言い回しを使うということだ。たとえば、ファミレスで注文を確認するときに「……以上でよろしかったですか?」や、宅急便がインターホンを鳴らして「宅急便でした」などがある。「あぁ、そうですか」と言ってしまいそうなところであるが、これは一種の丁寧な表現だと言うことである。つまり過去時制を使うと丁寧さが増すという一般的な傾向に従っている。英語のCan you …とColud youの比較やフランス語の複合過去と単過去の使い方を比較すればよい。

というようなことを考えて、言語地理学に興味が湧いてきた。もっとも日本語くらいしかきちんと勉強しようとは思わないけれど。

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