Webサイトを作る・作りたいあなたのために

webサイトの制作はいくつかの技術が複合的に絡まりますが、その基本はHTMLです。HTMLの書き方は、「ホームページの作り方」としてネット上に散在していますが、きわめて大きな思想的・技術的「誤り」を含むものをよく見かけます。HTMLの書法には、一種のコツ、あるいはクセが伴います。外国語の発音ではありませんが、はじめに間違ったクセをつけるとそれを取り除くのは大変な苦労をすることになります。初発の段階で正しいHTMLを学ぶことが重要です。

HTMLはきわめて論理的に設計されています。設計されたという点からわかるようにその運用・思想は本質主義的です。なるべく汎用性を高めるべく、自然言語を抽象化するのですから当然です。繰り返しますが「設計されている」ものですから、設計に照らし合わせて「正しいもの(validなもの)」と「正しくないもの(invalidなもの)」にわけることができるのです。自然言語では「意味の伝わる英語」と「意味の伝わらない英語」の区別はありますが、「正しい英語」と「正しくない英語」の基準は不明瞭で主観的なものでしょう。しかしHTMLの場合、「正しいHTML」と「正しくないHTML」は厳格に峻別されることを忘れないようにするべきです。つまり文法的に正しくない英語も英語ですが、文法的に正しくないHTMLはそもそもHTMLではないということです。

正しくないHTML(らしきもの)でも意味の伝わる場合はあります。しかし伝わらない場合もあります。正しいHTMLでは確実に意味が伝わることになっています。しかも正しいHTMLの場合は、単に文法的事項を満たすことによって「正しさ」の大部分をカバーできます。したがって、論理的な関連性のない個々の瑣末な具体的例文を学ぶよりも、正しいHTMLの文法を理解するほうが効率的です。以下は正しいHTMLを書くために非常に簡潔でわかりやすい説明をしているwebページへのリンクです。きわめて短い時間でHTMLの初歩的な文法事項をほぼ完全に理解することができるでしょう。

しばらくは、どのように見えているかを気にしないほうが、正しいHTMLを書くクセをつけるにはよいでしょう。意図通りに表示されているということとHTMLが正しいということは等価ではありません

注意

正しいHTMLを書く、という試みは、自然言語の書き方にも影響を与えることでしょう。

自然言語の文書における論理的な意味を、よりわかりやすくするために特殊な情報を埋め込んでゆく(「マークアップする」といいます)のがHTMLです。したがって、論理性の低い文書は非常にマークアップが困難で、もとの文書にも論理性が求められます。

文学的叙述を重視する人にとっては、機械の都合に人文的理念が負けた、と感じるかもしれません。それは正当な感想です(この点に関しては、拙稿「新世紀エヴァンゲリオンSS/FFをHTML化する人のために」中の「日本語における意味段落・形式段落とHTMLにおけるBR要素・P要素」を参照してください)。しかし一方で、正しいHTMLは文章の論理性を明示的に際立たせます。その意味で、論理的な文章を組み立てる訓練になるのもHTMLを書くということの利点でしょう。

なお英語が読めるひとはW3Cの仕様書なども読むとよいでしょう。特に技術的に難解なことが書いてあるわけではないので、HTMLの理解を深めるのに有用(というより本来は必須)です。日本語訳もありますが、記述がやや生硬ですのであまりお勧めできません。

主張を明確にするためにあえてvalidを「妥当」ではなく「正しい」と訳しました。

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