加藤弘一『電脳社会の日本語』

この題名は電子ネットワーク上のチャットや掲示板での日本語の形を問題としている、という印象を与える。ところが実際は全然違っていて、本書の問題はいわゆる「文字コード」に関わるものである。どの文字にどのコードを与えるかで表示される文字は全く違ってくる。この中で漢字のさまざまな異体字の処理が注目され、音を文字に移しているアルファベットと、もともと形が先にある漢字での取り扱いの違いが浮き上がってくる。文書のデジタル化などが進められる中でテキストの中の「字」をどのように扱うかはきわめて重要な問題であり、地に足の着いた論点であるといえよう。

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