天児慧『中華人民共和国史』

特選版.最近の概説書ではもっともすぐれている。中国共産党をマスタープランが確立した「Leninistの党」としてみるわけではなく、中国をとりまく政治の中できわめてダイナミックに展開した執政党として見る現実的な書と言える。よく1949年の中華人民共和国成立をもって一画期と見てしまいがちだが、天児の『現代中国』で示された革命、近代化、ナショナリズム、International Impact、伝統という5つのファクターを設定して中共の政策を見て行くので、中国革命の中国的部分と革命的部分を連節的に説明することを得ている。毛澤東が革命とナショナリズムなら鄧小平は近代化とナショナリズムである。この視座をもって現代中国政治をみると、そのダイナミックな変容の未来もある程度説得的になるのではないだろうか?

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