古川貞雄, 井原今朝男, 小平千文, 福島正樹, 青木歳幸『長野県の歴史』

室町期がよく書けている.あまりに些末でごちゃごちゃとしている時代だが,中世から近世への転換期の萌芽といわれる15世紀半ばを無視するかどうかで地方史概説の価値は決定的に変化する.

本書はただでさえ複雑なこの時期を信濃という小盆地分立の地域について外部との交流も含めて描き出すことに成功している.これまで読んできた県史の中でも中世史はかなり良い出来映えだ.

近世はやや記述が南に偏っている感.その分,中馬などに詳しいが,やはり『街道の日本史』に一歩譲る.その意味からはむしろ各藩政治史を詳述しても良かったのではないか.近代はもちろん蚕業を中心とするが,やや赤いのが難点.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください