山本武利『日本兵捕虜は何をしゃべったか』

推薦版。田中宏巳『BC級戦犯』の評の中で述べておいた第二次世界大戦における日本の諜報戦のずさんさについて平易に著述してある書。たとえば、戦場に残された日本将校の死体のポケットには、作戦遂行要領や部隊編成などの機密情報のメモがいくらでも残されていたことや、捕虜は原理的に発生しないはずだったので日本軍は捕虜になった場合の教育を全く行っておらず、ほとんどなんでもしゃべったことなどが具体的な事例をまじえて記述している。日本の文書慣行が意外な形で戦争運営に関わっていたことが分かる。好著である。

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