報復の論理

アメリカ政府はたしかに断固とした報復に望むようだ。ステートメントを読む。

The search is underway for those who are behind these evil acts. I’ve directed the full resources of our intelligence and law enforcement communities to find those responsible and to bring them to justice. We will make no distinction between the terrorists who committed these acts and those who harbor them.

Statement by the President in His Address to the Nation

上の強調はわたし。特に最後の部分をどのように読むかが重要である。テロリストも援助者も区別しないでjusticeに付すといっている。いったいこのjusticeとはなんなのか。これを全ての人に説明できれば、アメリカのやったことは正しくなるし、普遍的な価値観が世界にあったことになる。しかしながらおそらくこれはアメリカの考えるjusticeであろう。とするならば、以下の問題が出てくる。

The deliberate and deadly attacks which were carried out yesterday against our country were more than acts of terror. They were acts of war. This will require our country to unite in steadfast determination and resolve. Freedom and democracy are under attack.

Remarks by the President In Photo Opportunity with the National Security Team

ゆえに我らも戦争に対して戦争をもって報いる、という論法である。これはきわめて危険な論理である。なぜなら理念的には戦争とは国家と国家の間で戦われるものであるからである。テロは国内法上の犯罪として扱われ、戦争は国際法上の戦争法によって規定される。ところがブッシュ政権はテロに戦争を適用しようとしているのである。一般に近代国家の刑法は、犯罪に対する復讐を禁止している。正当な法律的手続きにのっとって犯人を逮捕し、裁判によって裁くべきものなのである。ところがこれを戦争とすると、無制限の報復を許すことになる。ある意味アメリカはテロと同じ土俵に乗ってしまったともいえるのである。しかし先述のように、今回のテロを許すことは、現代の国際社会にはできない。苦しい選択であったと思われる。

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