多摩の丘

久しぶりに「耳をすませば」を見た。ジブリの映画は一様に反都市と見られることもあるときくが、決してそのようなことはなかろう。本作や「魔女の宅急便」の都市はすばらしい。重要なのは、異世界への扉が開くということである。「千と千尋の神隠し」についても述べたが、心の持ち方で世界の広がり方はいかようにも変わる。たとえば「日本」というものにしても柳田國男や宮本常一を読むあとと前ではずいぶん違って見えるだろう。

この作品の冒頭原曲の「カントリーロード」が流れながら描かれる夜景は「平成狸合戦ぽんぽこ」のエンディングと同一である。狸の去った東京にもまたストーリーは開幕する。

この作品の舞台のモデルは聖蹟桜ヶ丘とジブリのある小金井周辺であると言われている。確かに高尾に向かう途中、多摩川を渡り豊かな緑の丘のもとに美しい町の広がる場所で、すこしわくわくする感じのある街である(関係ないが、京王電鉄の本社も実はここにある)。が、私たちの住むそれぞれの街角にそれぞれの「耳をすませば」のストーリが存在しうるのである。問題は私たちが何を試すか、であろう。私にとって中学生の時代はすでに遠く過ぎ去っているのである。この物語をありえたかもしれないけど、結局なかった可能性の一つとして、見たくはない。

昨日まで学校が一斉休暇に入っておりFTPに不具合が出た。一時公開休止にしたが、ほぼ復調した。靖国問題についての記事が途中で切れていたことをお詫びする。

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