プロジェクトX系.服部精工の一員エプソンのプリンタ事業の萌芽は東京オリンピックで精工舎がクオーツ時計を作成した際に,計時結果を出力する機器を作成したところにあるという.たしかに時計屋さんがプリンタになぜ手を出したのかとい […]
カテゴリーアーカイブ:読了(コメントつき)
松田美智子『お茶漬けの味100』
お茶漬けもここまでバリエーションが広がりうるという本.チキンスープをかけたり出汁をかけたりするのはやや邪道という気がするが,それを除いても充分な量のレシピがのっている.意外というか感心したのが,緑茶だけでなくほうじ茶や烏 […]
アントニー・ビーヴァー(川上洸訳)『ベルリン陥落 1945』
独ソ戦史.あいかわらずスターリンもヒトラーも狂乱状態だが,今作でもっとも注目されるのはソ連軍の軍紀弛緩の度合いである.これはよく知られていることだが「解放軍」たるソ連軍は進出する先々で婦女暴行を働いている.ソ連はドイツ軍 […]
小林作都子『そのバイト語はやめなさい―プロが教える社会人の正しい話し方』
バイト語とはファミレスやコンビニのバイト君たちの口にする妙なビジネス語のこと.たとえば「五千円からお預かりします」などがある.著者はバイト語の特徴として,敬語の誤用,敬語の過剰な組み合わせ,文意のぼかしがあるといい,数々 […]
ポル・ポト<革命>史―虐殺と破壊の四年間
著者はバンコク特派員としてカンボジア内戦を報道してきたジャーナリスト.カンボジア現代史の研究,特にポル・ポト政権の数年やクメール・ルージュの内実については内戦中に一次史料の数多くが失われたこともあってあまり進んでいない. […]
古川貞雄, 花ヶ前盛明編『北国街道―東北信濃と上越 』
北国街道は軽井沢近くの信州追分で中山道からわかれ,小諸,上田,戸狩をへて善光寺平に入る.ここで二手にわかれ,一方は松代,一方は善光寺門前を経由し合流.野尻をへて高田,直江津へと至る道のりである.おおむね以前の信越本線の軽 […]
高崎真規子『少女たちはなぜHを急ぐのか』
題名にひかれて読んだ.二部にわかれており,前半は15歳くらいから23歳くらいの女性たちへのインタビュー.後半はその周辺にある大人,学校保健医や産婦人科医,占い師,少女向雑誌の編集長などへのインタビューである.なぜHを急ぐ […]
ジョン・R. ヒューム , マイケル・S・モス (坂本恭輝訳)『スコッチウイスキーの歴史』
非常に大部の訳書.ウィスキー製造が密造と税法の絡み合いの中で発達してきた産業史そのものであるということがよく分かる.ローランドとハイランド,モルトとグレーンそれぞれが今日に至る事情をこれほど詳細に書いた日本語の書物はない […]
龍居庭園研究所編『結ぶ/塗る・突き固める 垣根・土塀作法』
近年,生け垣も竹垣も土塀もなかなか見かけない.地元ではちらちら見たものだが,東京に来てから,たとえ大和郷といえども(あるいは近代の産物大和郷だからこそかもしれないが)ほとんどがブロック塀である.建て主側の意識の問題も当然 […]
飯田文弥編『甲斐と甲州道中』
甲州道中の山梨県域をカバーしており,県史と枠組みが完全に重なる.そのためか政治史の記述は少なく,本シリーズの他書と比較して社会経済史の割合が多くを占める.正直あまり面白くないのだが,それでも鰍沢における富士川の水運はおも […]
神崎 彰利, 福島金治, 大貫英明, 西川武臣『神奈川県の歴史』
前近代を鎌倉を中心に,近世を高座郡と小田原藩,近代を横浜を中心に描く.特徴として中世の扱いが非常によい.特に永享から享徳にかけての上杉氏と当地の関わりに詳しい.上杉氏の町としての神奈川宿という情報は一般読者にも有用だろう […]
デレック・ポック(宮田由起夫訳)『商業化する大学』
ハーヴァードの学長を20年弱にわたってつとめた人物による大学商業化への警鐘.大学スポーツと産学連携に関わる諸問題(利益相反など特にバイオ関連で),インターネットを含めた通信教育など社会人教育の問題が論じられる.結論として […]
竹内誠, 池上裕子, 藤野敦, 古泉弘, 加藤貴『東京都の歴史』
非常にまとまっていて読みやすい.特に中世がすばらしい.太田氏関連の記述が豊富.これも江戸が徳川家康の入国によってはじめて発達したわけではなく,江戸湊が中世にすでに関東における流通結節点として紀州船や伊勢船が入港していたと […]
田代脩, 重田正夫, 塩野博, 森田武『埼玉県の歴史』
やや叙述が散漫.もうすこし流れのある著述ができなかっただろうか.まぁ,埼玉だし仕方がないか.
Said Amir Arjomand, Authority and Political Culture in Shi’Ism
先月半ばからえんえん読んでいたもの.やっとこ終わったという感じ.感想はまだまだ整理できていない.やっぱり近代のほうがおもしろかった.
栗本薫『豹頭王の行方』(グイン・サーガ96)
今回は話が動いた.もっとも動いただけで進んだわけではない.96巻にしてマイル・ストーン.こりゃ100巻じゃ絶対に終わらない.ついでにわかったこと.私はほぼ2ヵ月おきに物語欠乏症になるのだが,これはグインが出た後だ.隔月刊 […]
ジョゼフ・ボスキン(斎藤省三訳)『サンボ―アメリカの人種偏見と黒人差別』
訳が生硬で読みにくかったので斜め読み.原文では社会史として非常に良くできたモノグラフであったのだろうことがわかる.しかし訳者の差別反対の思いが強すぎるのか,日本語訳でかえってイデオロギー性が強く出てしまい引用部のおもしろ […]
山崎雅弘『歴史で読み解くアメリカの戦争』
手際よくまとまっていて非常に読みやすいが,きちんとした国際政治学の本ではない.レポートとしてできがよい,といった感じか.なにより参考文献が適当すぎる.読み物.
サラ・フィッシャー, レイチェル・ストール(杉原利治, 大薮千穂訳)『アーミッシュの学校』
アーミッシュはもちろんあの伝統主義の集団である.近代国民国家における国民統合の軸の一つに公教育がある.当然公教育の義務化とアーミッシュの外部社会との関わりの忌避は衝突をおこす.そのあたりのことも絡めつつ,アーミッシュ自身 […]
仲田正之編『伊豆と黒潮の道』
伊豆地方はこれまでの地方史概説書では完全な穴.執筆者もほとんど地元の高校の先生.良書である.江川氏関連が充実している一方,坦庵は褒めすぎの感も.島部はやはり見捨てられた.