「日本の現代」シリーズ。本巻は家電や携帯電話、パソコンなどを通じて、1970年代ころからの社会の「個人化」(個人主義化ではない)が進んでゆくという視点をモチーフに現代日本の技術史・社会史を叙述する。それなりに細かい技術的 […]
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酒井あゆみ『売る男・買う女』
本書は出張ホストを中心に、ウリセンを生業とする男たちへのインタビューを集めたものである。ウリセンというのは1990年代半ばまでは、新宿2丁目で男性たちに春を鬻ぐ少年たちを指したが、その後ホスト・ブームなども経て女性たちに […]
喜多由布子『アイスグリーンの恋人』
本書の著者は「帰っておいで」で「[[らいらっく文学賞]]」第25回を受賞した北海道在住の作家。本書も札幌薄野を舞台に、交通事故で片腕をなくしいまや高利貸しとなった男性と、不幸な生い立ちを持ちつつも純真に生きる女性の恋物語 […]
齋藤慎一『戦国時代の終焉』
以前から気になっていたもので、ようやく読んだ。タイトル(と副題)から思い描いていたとおりの良書。1574年の豊臣政権成立を決めた[[小牧・長久手の戦い]]と同時期の関東では[[沼尻の戦い]]が発生した。通例、本会戦は長陣 […]
舛本哲郎, 小須田英章『JR語の事典』
Wedgeの編集者によるJRオーバービュー本。私は乗務用語などのジャーゴン集だとおもって借りてきたのでアテがはずれたわけだが、テツではなくて、かつJRのことを知りたい人には有用かもしれない。鉄分の濃い人にとってはあたりま […]
『アボカド バンザイ!』
[[アボカド]]を多少ポップ風味に紹介する本。100ページ強で1400円と少々高いが、ブックデザイン・レイアウトにすぐれた良書。完全な料理書ではなくて、レシピは全体の半分ほどでちょうどよい分量。内容も2人分表記となってお […]
福井県丸岡町編『日本一短い手紙-「愛」の往復書簡』
福井県[[丸岡町]]の[[一筆啓上]]シリーズ。今回のお題は「愛」。ブレがでそうなテーマだとおもっていたが、これが意外にさまざまな切り口からのおもしろい投稿を促したようだ。いつもどおり、笑えるものから、読むのもいやになる […]
里中哲彦『まともな男になりたい』
まともな男になりたい、と思いつき、まともな男とはなにか、との自分語りの書。まともな男はそもそもこんなもの書かないだろうと思うのだが。自分のことを「小生」と書いたりするのもこっぱずかしい。さほどおかしなことを言っているわけ […]
金子雅臣『壊れる男たち』
セクハラ本。著者は東京都の労働相談に長年携わった人。本書はその中のエピソードを紹介して、セクハラ問題を「女性問題」の枠ではなく男性問題として捉えなおす試みを行うものである。事例とそれを読み解く「第2章 男たちのエクスキュ […]
玄田有史『働く過剰』
NTT出版の『日本の<現代>』シリーズ第12巻。玄田氏は『仕事の中の曖昧な不安』などですでに著名な労働経済学の研究者である。前半を若年層の労働問題全般に、後半を特にニートについて論ずる。本書では出所のしっかりしたデータを […]
長尾宇迦『津軽南朝秘聞』
題名を聞いて、知っている人ならば[[浪岡氏|浪岡北畠]]のことだろうな、という予想がつく。浪岡北畠というのは、後醍醐帝の建武新政の際に奥州に下り鎮守府将軍となった[[北畠顕家]]・顕信兄弟の子孫で、津軽平野の東部、[[浪 […]
ダイアナ・マーセラス(関口幸男訳)『夜明けをつげる森の調べ』(シャーリアの魔女第3部,上下巻)
三部作かと思いきや,おわらない.いろいろな伏線がそのまま.作者も投稿している掲示板を読んでみると出版関連で問題があり,脱稿しているものの出版が出来ない状態の模様.無事出版,翻訳されることを祈る.著者もいっているがTo B […]
篠田一士『三田の詩人たち』
あゆみにあったので,当然題名にひかれて買った本.が,実は慶應義塾と文人たちの関わりはほとんど何も書いていない.書いていないが近代日本詩学論的には非常に質のよい教科書といってよい良書かもしれない.扱う人々は久保田万太郎,折 […]
ダイアナ・マーセラス(関口幸男訳)『海より生まれし娘』(シャーリアの魔女第1部,上下巻)
「時の車輪」とは異なる女性らしい優しく洗練されたタッチの物語.表紙もあわせてとても気に入った.
坂本勉『ペルシア絨毯の道―モノが語る社会史』
頂き物.ありがたく拝読.鍋島直大が絨毯に座っている写真はなかなか貴重
ロバート・ジョーダン(斉藤伯好訳)『竜王伝説』(「時の車輪」第1部,全5巻)
出版当初は通常のハヤカワのものとことなる背表紙に恐れをなして読んでいなかったが,いざはじめてみると完全にのめり込む作品.修論だの院試だのがろくでもない結果になったのはこの本のせい(笑).ストーリーの続きはなによりも楽しみ […]
ピアズ・アンソニイ(山田順子訳)『魔法の国ザンス』(はじめ6冊)
評判の高いシリーズ.全巻一気に読もうと思って借りてきたが,どうにもこうにも全くおもしろくない.SF的なるものをファンタジー調にした感覚がまったくついていけない.歴史物語的なところのない,あるいはヒューマンドラマ的なノリの […]
デイヴィッド・エディングス(宇佐川晶子, 佐藤ひろみ, 柿沼瑛子訳)『ベルガリアード物語』(全5巻)
修論間際の一月前半.『真実の剣』から続く物語餓えがおさまらず,むさぼり読んでしまったお話.とてもよいと思う.
熊田一雄『“男らしさ”という病?―ポップ・カルチャーの新・男性学』
割とまじめな男性学本.ポップカルチャーに将来可能なより望ましいオルタナティヴとしての男性性(=抑圧されてきたかもしれない女性の中の男性性)を見極めようとする.その実例としてマンガ,アニメ,そして新宗教を論じる.出口王仁三 […]
鈴木均編著『ハンドブック・現代アフガニスタン』
雨後の竹の子のようにアフガニスタン関連本が出ているが,本書はもっとも信頼できる現代アフガニスタンに関する概説.憲法の日本語訳は他書では手に入らない.