(パレスチナドキュメント・プロジェクトHP)أوراق : مشروع الأرشيف الفلسطيني

جامعة بيرزيت

ラーマッラー郊外に位置するパレスチナのビールゼイト大学が公開するウェブドキュメントのホームページである(http://awraq.birzeit.edu/)。個人文書、歴史的出来事に関する一次資料、各組織による政治声明、放送関連の音声、古い新聞などがPDFで参照できる。同様の資料公開として、WAFAのHP(別頁で紹介)も参照に値する。

(鈴木啓之)

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(アラブ文書集) الوثائق العربية 1963-1982

الجامعة الاميركية في بيروت

ベイルート・アメリカン大学から刊行された資料書籍であり、パレスチナ問題関連に特化した『パレスチナ・アラブ文書集』(パレスチナ研究機構刊行、1965~1981年)よりもアラブ世界全体に焦点を当てている。1963年から1982年まで各年版が刊行されており、日本国内では東洋文庫のみが収蔵している(2015年1月現在)。

(鈴木啓之)

 

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(アラブ統一 年表・文書集) يوميات ووثائق الوحدة العربية 1979-1996

مركز دراسات الوحدة العربية(1980-年)

「アラブ統一研究所」(مركز دراسات الوحدة العربية)刊行の資料書籍であり、1979年から1996年までの各年(1989~1993年は一冊に合本)におけるクロノロジー(第一部)と政治文書(第二部)から構成される。『パレスチナ・アラブ文書集(الوثائق الفلسطينية العربية)』(パレスチナ研究機構刊行、1965~1981年版)、『アラブ文書集(الوثائق العربية)』(ベイルート・アメリカン大学刊行、1963~1982年)と比較して、レバノン侵攻からインティファーダ、オスロ合意までカバー可能である。

また、パレスチナ問題に留まらなければ、イラン・イラク戦争、湾岸危機、イエメン統一など、さまざまな歴史的出来事に関する当時の政治文書を参照することが可能である。日本国内の図書館では、東洋文庫および東京外国語大学附属図書館が収蔵している(2015年1月現在)。

(鈴木啓之)

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[ハガナーの歴史書]ספר תולדות ההגנה

Array(1954年)

初代教育大臣ベン=ツィヨン・ディヌールが編集したイシューヴ建設からイスラエル独立までの軍事史。全3巻4500頁。「ハガナー」とは直接には英委任統治期の地下軍事組織の名称だが、イシューヴ期全体の軍事史を記述していることから当時のハガナー(防衛)をめぐる事柄全体が対象だと言える。

ここでの防衛の概念は、ユダヤの民による祖国イスラエルの地の再保持においてアラブ人の攻撃やイギリスの抑圧に直面するなかで出てきた本能的反応だされる。その時代区分には、自然発生的・局所的な「自衛」から組織による「防衛」へ(1881年第1次アリヤー~1920年テルハイ事件)、「防衛」からより主体的な社会建設を行う「闘争」へ(1921年「ヤッフォ・ポグロム」~1939年マクドナルド白書)、「闘争」から国家形態で戦う「戦争」へ(マクドナルド白書~独立戦争)という三段階があり、各1巻が割かれている。ネーション構築の観点から特筆すべき点は、本書はこの三段階を有機的構成体であるイスラエルの民の発展過程としている点である。つまり、ユダヤの民はイスラエルの地での入植によりこの三段階を経験するなかで、民族としての精神性を「発見」し、組織化し、かつ建国によって完全なものにした、と解されている。

同書の構想は1948年に世界シオニスト機構執行局に提出され、イツハク・ベン=ツヴィら5名から成る編集局が設立され、ディヌールが編集長となった。その後国防省の出版局「マアラホート」からの出版が決まった。

同書は、パレスチナ人との「1948年論争」の火種となった「ダレット計画」などを含む1次史料を収めている。またハガナー・メンバーから集められた約二〇〇〇の証言にも多く拠っている。これらの史料や証言は後のハガナー・アーカイヴ、国防軍アーカイブの基礎となった。(金城美幸)

 

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Brokers of Deceit: How the US Has Undermined Peace in the Middle East

Rashid Khalidi(2013年)

1991年のマドリード中東和平会議でヨルダン・パレスチナ合同代表団のアドバイザーを務めたラシード・ハーリディによるアメリカ中東和平政策批判の書。カーター大統領以降の6人のアメリカ大統領の中東和平政策を視野に入れ、①レーガン・プラン(1982年)、②マドリード和平交渉以降のワシントン交渉(1991年~93年)、③オバマ行政でのユダヤ人入植地拡大に対する妥協という3つの歴史的モメントのなかから、アメリカの対イスラエル、対PLO政策を描き出し、とりわけアメリカのイスラエルに対する配慮や協調姿勢に対して批判を投じる。

本書の論述の出発点は、パレスチナ問題に対してアメリカが初めて和平像を提示した、1978年のキャンプ・デーヴィッド合意である。理由は、この合意に示された「和平」象が、以降のアメリカ・イスラエルの和平象の基礎となったためである。その像とはすなわち、西岸地区・ガザ地区の一部におけるパレスチナ人の「自治 autonomy」である。そこではパレスチナ人は民族自決権をもった主体とは認められない。イスラエル国内のパレスチナ人、アラブ諸国のパレスチナ人、エルサレムのパレスチナ人という多数派が「パレスチナ人」のカテゴリーからは振るい落とされる。西岸地区・ガザ地区の住民を、「マイノリティ」である「パレスチナ・アラブ」としてその処遇を決めるのだ。西岸・ガザ住民は自治を与えられるものの、それは人にのみ適応され土地には適応されない。つまり、西岸とガザを含めたエレツ・イスラエル全土のコントロールはイスラエル側が維持する、と言うことになる。

本書の究極の狙いは、キャンプデーヴィッド交渉以降の「和平」象を、パレスチナ人とシオニストの歴史的な関係において位置づけ直し、その問題性を描き出す点である。パレスチナ人の民族自決権の否認は、バルフォア宣言を起点とするイギリスの委任統治政策以来引き継がれてきた歴史的産物である。オスロ合意以降の和平交渉を経ても、超大国とシオニストのパレスチナ人の処遇に対する基本的枠組みは変わっていない、というのが著者の主張だ。

こうしたアメリカ・シオニストの対パレスチナ人政策における協調性と不変性を覆い隠すのが、和平交渉のなかで産みだされてきた「言語の腐敗」であり、これは本書を支えるもう一つの中心的テーマとなっている。「独立」「主権」「民族自決」、他者から介入されない完全な自己決定を意味するはずの概念が、パレスチナ人に当てはめられる場合、イスラエルの許容する条件においてのみ――すなわち、イスラエルの「安全」を保証する限りにおいてのみ――許容される。それゆえ、「和平」交渉の暁に何らかの形でパレスチナ国家が設立されるとすれば、それは軍事力をもたず国境や経済計画をイスラエルによって管理された「独立」国家であり、イスラエルに許容された権限・地理的領域においてのみ「主権」を行使でき、離散・分断状況にある民の大部分が一方的に振るい落とされ、囲い込んまれたごく一部の集団に対して「民族自決」の権利が与えられる。

このような欺瞞を仲介しているのは紛れもなく米国であり、そしてそれはイスラエル側との協調の上に成り立っている。本書は、和平交渉におけるアメリカ、イスラエル、PLOの力関係と、「和平」の歴史的位置づけに対して力強い問題提起を行っている。(金城美幸)

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Occupied Territories: The Untold Story of Israel’s Settlements

Gershom Gorenberg(2006年)

本著では、イスラエルが1967年以降、入植と占領政策を通じて「時代錯誤な植民地主義へと逆戻り」したと論られ、そこに至る政治過程が解説されている。

本著の第1の特長は、被占領地での植民地主義的支配の原因を、1967年から77年までの労働党政権下における政治過程に探っている点にある。第2の特長は、そうした支配が政府や軍によって意図されたものではなく、第三次中東戦争終結直後の戦略の欠如あるいは国家規模の選択回避に起因するものであり、戦争で突然手に入れた「成果」の「偶然」の産物だったと主張する点にある。

本著は、1967年以降の入植活動と建国以前から67年まで組織的に行われきた入植地建設や対アラブ人政策との関連性を論じておらず、67年前後に明確な戦略や合意が見受けられなかったということだけで突如偶然にイスラエルが植民地主義支配を始めたと結論づけており、その根拠ははなはだ弱い。だが、これまでの入植地研究において注目されてこなかった1967年から77年という時代に焦点を当て、様々な興味深い事実にも触れている点では、一度目を通す価値はあるように思う。(今野泰三)

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Creating Facts: Israel, Palestinians and the West Bank

Aronson, Geoffrey(1987年)

1967年以降の西岸地区における、イスラエルによる入植地建設と対パレスチナ人政策の背景を考察した概説書。

本書の特徴は、被占領地において土地接収と入植地建設を通じて土地のコントロールがパレスチナ人からユダヤ人へと移され、パレスチナ人がユダヤ人に管理される賃金労働者へと転換されてきた根本原因が、イスラエル建国以前から続く「一貫したイスラエルの政策」にあると論じる点にある。この政策は、第三次中東戦争直前に発足した国家統一内閣の閣僚が、英国委任統治時代にシオニストが考案した軍事力と入植地を基盤としてユダヤ人コミュニティーを強化する「既成事実作り」の戦略を再び採用したことに起因すると著者は論じる。イスラエルにとっては外交と条約もまた、「既成事実作り」のための道具でしかないという。

イスラエルによる入植地建設は中東和平における重要な問題の一つであるが、本著はその政治的・戦略的背景を理解するうえで読まれるべき1冊である。著者は現在、米国の研究所「Foundation for Middle East Peace」の研究員。(今野泰三)

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中東戦争とイスラエル

大岩川和正(1967年)

日本の現代イスラエル研究第一人者により、第三次中東戦争直後に執筆された2部作の論文。シオニズムとイスラエル・ナショナリズムの本質まで切りこむ深い考察が加えられている。

論文第1部の前半は、第三次中東戦争開始直前のイスラエル国内の雰囲気や、開戦までの経緯、戦後のイスラエル社会の興奮が記される。後半では、この戦争をイスラエル対アラブというナショナリズムの対立構図で捉える観方が批判され、その背後にある「一定の政治的立場とそれが必要とする巨大な論理の虚構」(p.99)が分析される。

第2部前半では、イスラエル・アラブ戦争が解決に至らない背景としてイスラエルの対外政策の特色が考察され、後半では、アラブ勢力のインターナショナリティーとイスラエル社会の歴史的総過程を総合的に把握する研究が中東和平への契機を探るために必要だと論じられている。

著者は、本論文を通じて、なぜイスラエルが西アジアで平和に共存できないのかという問いに対する一つの答えを提示しており、現在でも重要な視座を与えている。(今野泰三)

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המתנחלים והמאבק על משמעותה של הציונות 宗教右派入植者とシオニズムの意味を巡る闘争

גדי טאוב ガディ・タウブ(2007年)

本著では、西岸地区とガザ地区のイスラエル入植地をめぐるイスラエル国内での論争が、単なる政策・政治レベルの問題ではなく、イスラエル国家のアイデンティティとシオニズムの意味を巡る根源的(イデオロギー・文化・社会的)闘争であるという主張が展開される。

著者はまず、入植地をめぐる対立の要因は、「国家シオニズム」と「贖いのシオニズム」の違いにあると論じる。前者は、イスラエル国家を重視し、エレツ・イスラエルへの入植/定住を国家主権実現の手段と見なす。後者は、ラビ・ツヴィ・イェフダ・クックの教えを指し、国家主権を「イスラエルの地への入植/定住」の手段と見なす。

著者によると、非妥協的なメシア主義グループは宗教シオニズム内でもマイノリティーであり、宗教右派入植者の大多数は2つのシオニズムの間で矛盾を抱えているという。だが、その指導層は、イスラエル国家の方向性との対立を隠すため、2つのシオニズムの違いの存在そのものを否定するようになった。同時に彼らは、自らの政治神学に法的基盤を与えるため、主権と安全保障の用語で自らの神学を説明するようになったという。

以上のように論じた上で著者は、イスラエルの将来は、宗教右派入植者がいかにして内部矛盾を解決し、イスラエル世論が宗教シオニズムにどのように対応していくかで決まると結論づける。

イスラエル主要紙の記者によって書かれた本書は、明確すぎるぐらいの単純な構図で、イスラエル国内の論争の所在を明らかにしてくれる。(今野泰三)

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Is America “Different?” A Critique of American Jewish Exceptionalism

Michaels, Tony(2010年)

20世紀後半からBen Halpernをはじめとした歴史家の間で共有される傾向にあるアメリカ・ユダヤ史例外論を、最新のヨーロッパ・ユダヤ史の成果に基づきながら退ける意欲的論文。この例外論とは、ユダヤ史のなかでアメリカでは例外的にユダヤ人が差別や反ユダヤ主義に曝される機会が少なかったとする捉え方である。筆者によると、この種の議論は、解放の遅れや反ユダヤ主義の蔓延がヨーロッパ・ユダヤ史の常態であったことを、特にホロコーストに至るドイツ・ユダヤ史を念頭に置きながら前提としてしまっており、その反例を見ない傾向にあるという。しかし近年の研究が明かすところによると、ヨーロッパでも時期や地域によって、20世紀後半のアメリカに類する状況は多くあるし、アメリカでも実のところ差別事件は多くあった。また今日のアメリカ・ユダヤ人の状況は、冷戦や公民権運動などに規定された20世紀後半の状況によるところが大きいのであり、やはり時期による違いにすぎない――。本論文にはパレスチナ問題に関する言及はないが、近現代ユダヤ史を比較するための様々な視点や必須文献を紹介しながら議論をしているため、アメリカ・ユダヤ史に関心がなくても勉強になるだろう。(鶴見太郎)

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